
今日は、私が営業マン時代、入社3年目(1986年)の話です。
たまたま昔のリピート
のお客様で、事業者金融業や消費者金融業
を営まれているA社様を
担当することになりました。
通常は、消費者金融業界
からの求人はお断りしておりました。
定着率が悪い
、業界イメージが悪く
、求人をお受けしても、人材をご紹介できない、などの理由からです。
ただ、A社様は、過去、あの鬼マネージャーのSさん
が担当し、ご紹介実績があるばかりでなく、
その時にご入社された方の内、お二人が常務
に、お一人がヒラ取締役
に昇進されていました。
という事で、A社様に関しては、例外的に求人をお受けすることになりました。
天才営業マネージャーのNさん
と同行し、求人の背景や求人内容のヒアリングを行った上で、
企画書
を作成して、直接、先方の社長
や常務
にプレゼンしました。
求人内容は、ほとんど全ての部署の部長・役員クラスが欲しいという豪快
な話でした。
企画内容は、TRS780万円(上級管理職2名)を4本で3120万円。
それに加えて、朝日新聞
と日経新聞
の全5段を2回ずつで、約1700万円。
合計で約4800万円
です。
これで上級管理職が8名採用できれば、一人当たり600万円
で高くない。
私:「Nさん
、いくら何でも4800万円
出してくれますかね
?」
Nさん
:「武谷(たけや)、強気だよ~
。お前が少しでも高いと思ってプレゼンしたら、相手にも
    伝わるぞー。ダメダメ。強気だよ~
。」
私:「確かに、上級管理職を一人600万円で採用できれば安いですよね。
  実際に過去、うちから入社した方々が、三人も役員
になってますからね。」
Nさん
:「そうだよ~。あの三人が居なかったら、今のA社の繁栄
はないよ。
     それを考えたら、全然高くないよ~
。」
私:「そうですね。強気でプレゼンします
。」
という感じで、Nさん
と二人でA社様にプレゼンに行きました。
社長
も常務
もパンチパーマ
で、正直ちょっと怖いです
。
しかし、お話しすると、明るくて豪快で楽しい方々
です。
私:「以上、今回の上級管理職採用に関する企画内容です。
  社長、いかがでしょうか
?」
社長
:「おー、まあいいんじゃない
!!
    よろしく頼むぞ
。
俺は、ちょっと用があるから、この後の話は常務と進めてくれや。
    じゃあな!!
」
と、あっさり4800万円
の企画にOKが出て
、社長
は応接室を出て行かれました。
嬉しいような
、恐ろしいような
複雑な気分ですが、とにかく前代未聞の大型受注
です。
私:「これは、ちゃんと決めないと殺されるぞ~
。」![]()
数週間後、いよいよ朝日新聞と日経新聞の広告が掲載されました
。
求人が上級管理職であり、年齢制限が50歳までOKでしたので、300人程度![]()
![]()
の応募がありました。
その応募者を新橋本社ビルの大会議室に集めて、A社様の会社説明会を行うのです。
その直後、応募希望の方を5つぐらいの応接室に分けて、一次面接を実施するという流れでした。
ただ、ここで一つ問題がありました
。
求人広告には、A社様の社名は一切掲載していませんでした。
社名を掲載すれば、業界イメージだけで判断されて、応募者が激減
すると予測したからです。
広告には社名を掲載せず、会社説明会の場で、はじめて社名をお伝えする。
それが嫌で、説明会後に帰られてしまう方
が出ても仕方ない、という勝負に出ました。
しかし、できるだけ多くの応募者![]()
![]()
に残っていただきたい。
そのために、会社説明会には、社長
以下、全役員と人事部長、合計5名様にお越しいただきました。
会社説明も、社長
や常務
(入社体験談)、人事部長に熱を入れて
、話していただきました。
当日の来場者は、大会議室にも入りきれない200名程度![]()
の方々にお越しいただきました。
私(司会):「社長様
、常務様
、人事部長様、会社のご説明や、入社体験談のお話をいただき、
誠にありがとうございました。」
私(司会):「それでは、ご来場に皆様、この時点でご興味がある方
は、そのままお残りください。
午後は、一次面接となります。
      一方で、ご興味が無い方
は、この段階でご帰宅いただいても結構です。
      本日は、お休みにもかかわらず、わざわざご来社いただき、誠にありがとうございました
。」
私がそう言い終った直後、約100名![]()
ぐらいの方々が席を立たれました。
社長
や常務
に一生懸命ご説明いただいたのですが、やはり、業界イメージが悪いんですね。
でも、100名![]()
ぐらいの方々が残られました。
さあ、午後になりました。
午前中の最後に、応募者の方々から、ご持参いただいた履歴書と職務経歴書を回収し、
誰をどの役員に面接していただくかを、昼休み中に決めました。
その振り分けに従って、お一人ずつ、応募者の方を各応接室(面接会場)にご案内します。
午後1時に面接が始まり、最後の応募者の方の面接が終わったのが、5時近くになっていました
。
長い方は、4時間近くお待ちいただいたことになります。
その点、この企画には無理があったと反省しております
。
応募者の皆様、誠に申し訳ございませんでした
。
そんなバタバタした感じで、A社様の会社説明会は終わりました。
応募者の方々も、多くの方を面接されたA社様の方々も、説明会を主催した我々も、
全員クタクタでした~![]()
![]()
。
週が明けて月曜日になり、一次面接のレビューのため、A社様を訪問しました。
社長
:「うーん、たくさん面接して、途中から頭がボー
としちゃったよ。」
人事部長:「ちょっと忙しいかったね。
」
私:「ところで、一次面接の結果、良い方はいらっしゃいまいしか?
」
常務
:「ほとんど難しかったね。![]()
部長だとか、役員だとか言う言葉につられて来た人が多くて、
どんな事をやりたいのか、それがはっきりしない人が多かった。」
社長
:「まあ、今回は花火
みたいなもんだろう?
    折角、おたくに登録している人材
が居るんだから、その中から良い人を選んで
紹介してくれればいいよ。
    じゃあ、そういう事でよろしく。
」
私:「いやー、100名![]()
も面接していただいて、候補者はゼロですか??」
こんな感じで、大会社説明会は、本当に花火
になってしまいました。
その後、日常的にご登録いただいた方々の中から、個別にご紹介する努力をしました。
ただ、やはり、業界イメージの悪さは払拭できず、なかなか紹介人数が増えません。![]()
私:「4800万円
もらって、まだ、一人
も決まってないぞ。
  このままじゃ、俺は殺されるかもしれんぞ~。
」
毎日、誰かにつけれてないか? 気になるようになりました。![]()
そんなある日、初めての朗報
がもたらされました。
30代の金融業界経験ある方が、お一人決まったのです
!!
私:「あー、上級管理職じゃないけど、決まって良かった。
」
でも、その後が続きませんでした。
キャリアアドバイザーも、メーカーや商社、金融と言っても都市銀行の出身者が多いので、
気分的に乗らないし、実際、登録者に説明しても断られるのです。![]()
私:「参った!! 万策尽きたか??
」
そして、受注後、6ヶ月が経過し、A社様に状況報告に行く事になりました。
私:「なかなかご紹介が出せなくて済みません。
」
常務
:「うーん、景気が良くなって来て、他にいい会社
がたくさんあるんだろう?
うちには、順番が回ってきそうもないな。」
私:「誠に申し訳ございません。
」
と謝罪して、エレベーターホールに向かいました。![]()
そしたら何と、エレバーターホールで恐れていた社長と鉢合わせになりました![]()
![]()
!!
私:「しゃ、しゃ、社長!!
 この度は、結果が出せず、申し訳ございません!!
」
社長
:「は、は、はー
。
    今回はお前の会社に上手くもうけられちゃったな
!!
    じゃあな!!
」
と、笑いながらおっしゃって、エレベーターで降りて行かれました。
私:「ぽかーん。
」
これが、最後に社長にお目にかかった時です。
その後、再度の会社説明会開催を提案しましたが、A社様も乗ってくるわけもなく、
今回の企画はフェードアウトしてしまいました。
残った広告料金600~700万円
は、私の後任にされたRちゃん
が引き継ぐことになり、
Rちゃん
がキャンセルを切らされたと思います。
Rちゃん
、本当にごめん。![]()
何より、A社様の社長様
、常務様
、人事部長様、結果を出せず、誠に申し訳ございませんでした。![]()
更には、折角、会社説明会にお越しいただいた応募者・登録者の皆様
、誠に申し訳ございませんでした。![]()
今後は、お金
に釣られて、無理な受注は致しません。![]()
合掌。
※弊社HP↓。
			