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伝説の営業マネージャー、部長をボコボコにする！！

2010-7-27
カテゴリー：こんな凄い上司や先輩が！！

今日の話は、私が入社５年目（1988年）の頃の話です。

勝手なアメリカ出張から帰国後、簡単な「出張報告書」を常務に提出しました。

上司のＮ部長にも提出したのですが、「出張報告書」の内容が簡単すぎたのか？

どうもご機嫌が悪い。

Ｎ部長：「武谷（たけや）君、ちゃんと出張の報告をしてくれよ！！」

私：「えー、もう報告書は出しましたよね？」

Ｎ部長：「もっとちゃんと報告してくれよ！！

　　　　　　　そもそも上司の僕の承認も無く勝手に行ってきたんだから！！」

私：「えー、全社マネージャー会議で、『アメリカに行ってきます！！』と宣言したでしょう？

　　　誰も文句言わなかったじゃないですか？」

Ｎ部長：「そういう簡単な話じゃないんだよ！！

　　　　　　　だいたいね、君は会社というものをわかってないよ！！

　　　　　　　ちゃんと上司や役員に書面で決済を得た上で、はじめて出張できるんだよ！！

　　　　　　　君には、承認を得る義務と上司に出張報告をする義務があるんだよ！！」

私：「常務にもＮさんにも、報告書は出しましたよ。

　　　そんなの時間をかけて書いている暇があったら、もっとお金になる仕事しますよ！！

　　　報告書の内容でわからない点があったら、個別に説明しますから質問してください。」

Ｎ部長 ：「全くこの会社の社員教育はどうなっているんだ！！

　　　　　常務にも君の事は言っておくぞ！！」

私：「はい、どうぞ。」

Ｎ部長は、一橋大学卒で財閥系企業の国際畑出身。

頭が良くて発想に柔軟なところがあり、さすがと思う事もありますが、

今回のようにヒエラルキーにこだわるんですよ。

細かい事でも報告しないと機嫌が悪くなるんです。

簡単に言うと小者です。

そこで今日の本題ですが、同じセクションにＨさんと言う大先輩のマネージャーがいたんです。

リクルートの求人広告系一筋で伝説的な営業マンでした。

最後は営業所長をやっていたのですが、リクルートの採用支援事業も利益重視で

お客様の細かいニーズに応えにくくなっていました。

「とにかく、もうかるメイン商品（当時のリクルートブック）を売りまくれ！！　

個別の企業の会社案内、入社案内のような企画モノは原価率が高いので売るな！！」

こんな営業方針が、当時の専務で事業部長（後の鬼社長の河野栄子さん）あたりから

出ていたんでしょう。

Ｈさん：「昔はさー、いろいろ自由に企画モノも提案できて

　　　お客さんも喜んでくれたし楽しかったけどな。

　　　最近は利益利益でおもしろくなくてさー。

　　　そんな事もあって、俺は辞めることにしたよ。」

男気があり義理人情に厚く、お客さんを大事にする人ですから、利益優先で

お客さんの様々な要望に応えられない事に対して息苦しさを感じていたんでしょう。

普通のサラリーマンは、それでも会社を辞めませんが、スパッと辞めるところがＨさんの魅力です。

当時のリクルート人材センター（現リクルートエージェント）としては、

「優秀なＨ君を辞めさせるのはもったいない。

　リクルート人材センターは小さくてグループの中では注目されていないけど

　その分、自由度は高い社風を維持しているので何とかこっちで活躍してもらえないかな？」

という色気があって、Ｈさんにお越しいただいたと思うのです。

しかし、Ｈさんの基本的な考えは変わらず、近い将来、独立される方向で歩き出されたのです。

Ｈさん：「独立してどうなるかわかんねーけどな。

　　　　　俺も拾ってくれたリクルート人材センターには一宿一飯の恩義があるし、

　　　　　ここでプレイヤーとして業績を上げながら、自分の身の振り方を考えるわ。」

という感じで、同じ事務・営業系の郵送登録部門でキャリアアドバイザーをされていたのです。

さすが、みるみる業績を上げましたよ。

私もキャリアアドバイザー見習い的な事をやっていましたが、全くＨさんにはかないませんでした。

Ｈさん、この時には既に特別な契約に変わられていたと思うので、実際には事業部長付と言うか

会社と対等の関係だったと思います。

従って、一般社員のように毎朝の出社義務はなく、自由に動いていただき、結果に対して

報酬をお支払いするカタチになっていたと思います。

そこで問題勃発です。

一応組織上は、Ｈさんも私と同様、Ｎ部長の部下のようになっていたし、そこに机もあるのです。

ヒエラルキーの好きなＮ部長は、雇用関係に関係なく一般社員同様にＨさんにも

細かい業務報告を求めるのです。ベテランマネージャーだったＨさんにです。

Ｎ部長：「Ｈ君、今週の行動予定はどうなっているんだね？

　　　　　　　最近、君の行動がよく見えないからね。僕も心配なんだよ。」

というような言い方を営業会議でもしてしまうんです。

営業マネージャーとして何十人もマネジメントしてきて、自己管理できる大人のＨさんに

言う言葉ではないと思うのです。

まして、既に会社とは対等の関係で仕事をお願いしている方です。

更に、ダントツの業績も上げているのに。

ある日、ついに事件が起こりました。

午後早い時間だったと思います。

Ｈさんが会社に来られました。

Ｈさん：「お疲れ様です。」

我々：「あー、お疲れ様です。」

Ｎ部長 ：「おいＨ君、君は一体どこで何をしているんだね！！

　　　　　毎日報告するように言っただろう！！」

Ｈさん：「なにー！！　何だお前、このクソじじー！！

　　　　黙って聞いてりゃ偉そうに！！

　　　　しつこいんだよ！！

　　　　どうして俺がお前にいちいち細かい事まで

　　　　報告する必要があるんだ！！

　　　　新卒じゃねーぞ、このバカヤロー！！」

＊さすがに昔は相当喧嘩でならしたらしく、体格もいいし顔も怖いしド迫力！！

Ｎ部長は、完全にびびりながらも引っ込みがつかないらしく、

Ｎ部長 ：「な、な、な、なんていう口の利き方だ！！　

　　　　　無礼じゃないか！！」

Ｈさん：「うるせー、この野郎！！　

　　　　お前ちょっとこっちに来い！！

　　　　個室で話そうぜ！！　」

Ｎ部長：「わ、わ、わかった！！　

　　　　　　　話そうじゃないか！！」

Ｈさん：「悪いけど、武谷（たけや）も来てくれ。」

私：「は、はい！！」　

＊どうして俺が同席しなければいけないのか？　怖いから逃げたいよー。

そして、いよいよ３人で個室に入りました。

Ｎ部長 ：「Ｈ君、だいたいなんだ！！　

　　　　　今の口の利き方は！！」

Ｈさん、いきなりテーブルを　「どーん！！」　とたたいて、

Ｈさん：「てめー、大体細かい事にうるせーんだよ！！

　　　　俺はお前の飼い犬じゃねーぞ！！」

Ｎ部長 ：「上司である以上、

　　　　　部下に報告を求めるのが当り前だろ！！

　　　　　Ｈ君にも報告義務があるんだぞ！！」

Ｈさん：「お前は幼稚園の先生か！！　バカヤロー！！

　　　　お前みたいな、くだらん管理職が

　　　　部下のやる気をなくさせるんだ！！

　　　　つまらん報告、行動管理、

　　　　そんな事をされなくても大人は働くんだよ！！

　　　　特にリクルートの社員は、そんな奴ばかりだ！！

　　　　お前みたいな上司が細かい事を言えば言うほど

　　　　やる気をなくして腐るんだ！！

　　　　なー武谷（たけや）、お前もそうだろ？」

いきなり話を振られた！！　

私：「は、はい。

　　我々は上司が見ていなくても勝手に自分の意志で働きます。」

Ｈさん：「そうだよな。

　　　　　おい、お前も少しは働く社員の気持ちを考えて

　　　大人のマネジメントしろ！！

　　　チェックのためのチェック、報告のための報告、

　　　そんな事やってる会社からつぶれるんだぞ！！

　　　いい年してそんな事もわからんのか！！」

Ｎ部長 ：「しかし、社会では私が言っている事が常識だ！！」

Ｈさん：「だから業績が悪い会社が多いんじゃねーか、　

　　　バカヤロー！！」

Ｎ部長 ：「全く話にならん！！　

　　　　　もういい！！　勝手にしろ！！　

　　　　　この件はちゃんと役員にも報告しておくぞ！！」

Ｈさん：「勝手にしろ！！　

　　　　何が役員に報告だ！！　

　　　　何なら今ここに連れてきてみろ！！」

Ｎ部長 ：「話にならん！！　

　　　　　こんな不愉快な事は初めてだ！！

　　　　　１０歳以上も年下の若造に　

　　　　　お前呼ばわりされて全くとんでもない！！」

と、言われて個室の外に出て行かれました。

しかし、もの凄い大声で喧嘩していたので、外の社員にも丸聞こえで周囲は南極みたいに

凍りついていました。

この日以来、Ｎ部長とＨさんは、ほとんど会話することもなくなりました。

隣の技術系グループのボスのＮさんが大変人格者で、

ＨさんがこのＮさんと仲良くされていたのも、Ｎ部長の癪に障ったのかもしれません。

数週間が経ち常務が、

常務：「武谷（たけや）、最近どう？」

と様子を見に来られました。

私：「ご存じないですか？　

　　数日前にＮ部長とＨさんとの間で凄い喧嘩があったんですよ。」

常務：「ふーん、Ｎさんは、あまりマネジメントがお得意じゃないようだね。」

と、おっしゃってクールに去っていかれました。

結局、Ｈさんは数ヵ月後にお辞めになり、独立開業されました。

その時、天才営業マネージャーのＮさんと私は、観葉植物を買ってお祝いに行きました。

以来２０年以上、地道に人材紹介会社を営まれています。

クライアントもキャンディデートも大変親身に大切にされる方です。

「お金の臭いがしない」　コンサルタントです。

人生経験・ビジネス経験も豊富でアドバイスも適格です。

話もおもしろいし、お会いすると勉強になりますし、元気になります。

今でも大変お世話になっております。

Ｈさん、いつもありがとうございます。

合掌。

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武谷広人: 人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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